魔女と傭兵
各話あらすじ
第51話 友人
シアーシャはランクに合わない獲物の剛槌蜥蜴を持ち帰り受付嬢を困らせる。その様子を見守るジグに絡んできたイサナは、自分と同様ギルドで浮いていると思い込んでいたジグがウルバスやベイツとグロウから話しかけられる様子に打ちひしがれる。そんな中、以前シアーシャと組んだリンディアが儲け話を持ってきて…。
第50話 マフィアの娘
ひょんなことからジグは、裏通りでドラッグを使う男たちに絡まれた若い娘を助ける。発言からマフィア関係者であることを探りつつジグはその場をあとにする。やがて彼女の元へヴァンノがやってくる。ヴァンノからお嬢と呼ばれた彼女はドラッグの出どころと、自分を助けた傭兵を探るよう命じる。
第49話 血祭りのあと
老朽化したクランハウスを倒壊させたことを決定打としてバーディアは解散させられた。巷ではジグの仕業とされており当人は不満げ。やがてウルバスが現れ、迷惑をかけたと二人に謝るが、シアーシャもジグも意に介さず。友としてジグとウルバスは拳をぶつけ合う。
第48話(後編) 勇往邁進
シアーシャが大暴れ。
第48話(前編) 勇往邁進
新人教育と称して怪しい薬を携え待ち構えるバーディアの根城を、蟻の巣でも踏み潰すかのように真っ二つにしたシアーシャ。その行動と亜人への憎しみで激昂した頭目たちは、自らにその薬剤を投与し筋力を増強した姿で襲いかかる。
第47話 たのしい情報収集
シアーシャは人と違うことはそんなに許せないかとジグに問う。ジグは自分が変わるしかない、お前の望むように往けとシアーシャを諭す。望むように敵対勢力がねぐらにしている酒場へと向かったシアーシャは大暴れ。亜人嫌いで素行の悪いバーディアというクランの面々であることを突き止める。
第46話 羽音
ギルドで借りようとした本がどれも無いことにショックを受けたシアーシャは、仕事に邁進しようとするも同様に依頼も無くなっていたため鬱屈と過ごす。先輩冒険者からの教えをその場で即実践するなどして鬱憤を晴らしていたが、この一連の出来事が澄人教信者の差し金と知り…
第45話 澄人教
走り込むジグを待ち伏せていたイサナ。族長が呼んでいる旨を告げ図らずも目的地までの到着を競うことになるが、結果はジグの圧勝。長老は先日亜人を助けたことに触れ、彼らの立ち位置について、また亜人排斥主義者の澄人教(すみびときょう)に気を付けるよう助言をする。
第44話 人間の誇り
獲物から治療費の分だけ素材を分けて欲しいとウルバスは言う。狩り場に不敵な竜が出たことはギルドに報告しなければならないが、職員から無謀な戦いをしないよう釘を差されているためこの顛末が知られるとまずい二人は、手柄と引き換えにウルバスから救援を頼まれた体で偽装するよう要請する。
第43話(後編) 蜥蜴さん
土塊で作り上げた大剣を振り上げ、圧倒的な力で削岩竜の身を分断するシアーシャ。一方のジグもとどめを刺し、礼を告げる声に振り返ると人型の蜥蜴のような姿をした冒険者を目の当たりにする。警戒する仲間を仲裁し、名乗った個体は、自らを鱗人(うろこびと)のウルバスと言った。
第43話(前編) 蜥蜴さん
シアーシャの判断で二体の削岩竜に防戦一方のパーティを援護することにした二人。パーティに声をかけるとジグは、魔具インパクトグローブでの衝撃波などを活用して削岩竜を追い込んでいく。一方のシアーシャは新しく構築した土の魔術が硬い鱗に阻まれ…
第42話 実験台
朝市を楽しむ魔女シアーシャを見守っていたジグは、差別を受ける亜人の姿を目の当たりにしてうんざりする。場所を移し、硬い表皮を持つ岩石蜥蜴を実験台に新たな魔術を試すシアーシャとジグの元へ沢山の魔物が押し寄せてきた。魔物の集団行動を訝しむジグに、彼女は嬉々として原因の調査を要望する。
第41話(後編) 新兵器
魔力核に食いついたガントが取り出したのはグローブ型の魔具だった。試し打ちしたジグの拳は鎧を貫き実用性は充分だったが、値段は到底受け入れられるものではなかった。女性店員からグローブが不良在庫であることを指摘されたガントは、渋々値下げしてジグへと売り渡すのだった。
第41話(前編) 新兵器
戦いで負った傷も癒えたジグ。実績が欲しいワダツミに魔繰蟲討伐の手柄と素材を譲り、代わりに治療費、修繕費の補償と、セツたっての希望で魔繰蟲の魔力核を譲り受ける。もらった魔力核について馴染みの武器屋で女性店員に相談してみると、職人のガントを紹介される。
第40話(後編) 魔繰蟲(まくりむし)
迫る魔繰蟲にセツの一閃が命中。その隙に、魔力を持たず魔繰蟲への有効打を欠くジグは自らに代わり魔術でとどめを刺すようセツに要請する。魔繰蟲の注意を最大まで惹きつけたジグは、危険を顧みず術を構築したセツを抱えて走り抜け、魔繰蟲へ魔術を命中させることに成功する。
第40話(前編) 魔繰蟲(まくりむし)
賞金首の腹を破り首をもたげる魔獣、魔繰蟲。本来は、弱い魔獣に寄生し操る弱い魔獣だという話だが、眼前の魔繰蟲は巨大だ。魔繰蟲の一閃に、辺り一面の人も物も吹き飛んだ瞬間、ジグは走り出すなり武器を投擲し魔繰蟲へ命中させるが、魔具ではない普通の武器であったため再生されてしまう。
第39話 基本は傍観
ジグは食事処でベイツとグロウと顔を合わせる。ワダツミも狩り場の飽和に悩まされており、ミリーナとセツが取りまとめ、賞金首の魔獣討伐を目論んでいるとのこと。二人は仲間の援護をジグに依頼する。案内役のケインを伴い現場に到着し、魔獣の不自然な弱さに不信感を抱いたジグの目に捉えられたのは…。
第38話 弱肉強食
ジグは双刃使いラスケスと相対し圧倒。弱肉強食の掟を説き、反論するラスケスの首を一刀両断して雌雄を決した。薄闇から姿を表したライカはつまらなそうに生首を一瞥するとジグとの再戦を願って去り、満身創痍のミリーナはベイツに保護されて、辻斬り騒動は幕を閉じる。
第37話 辻斬り
ジグとベイツは双刃使いの辻斬り、ベネリ=ラスケスを追うことになった。一方で辻斬りは女性冒険者を手に掛けようとし、その場に居合わせたミリーナと交戦する。ミリーナは自分以上の実力を感じつつ善戦するも、力及ばず追い詰められてしまう。危機の瞬間、大男が宙を舞い戦闘に割って入る。
第36話 殺人鬼
双刃使いの男は日頃の言動からパーティを放逐される。孤独に歳を重ね燻っていたある日、路地裏の若者達の軽口に激昂し彼らを手にかけてしまう。一方で、夜の街を行く魔女シアーシャのもとに、双刃の武器を持つ男が襲いかかってきた。直後逃走した暴漢の人となりはジグにももたらされ…。
第35話 大暴れ
シアーシャの依頼報告を見守るジグは、アオイと名乗るギルド職員より声をかけられる。カスカベの姉だという彼女は弟の不出来を詫びる。一方シアーシャは賞金首の青双兜の番の到来を聞き、狩り場が混雑する原因を内々に処理しようと企むが、その思惑を見透かされて釘を差されてしまい…。
第34話 蜥蜴狩り
シアーシャは依頼の取り合いにも競り負けない一端の冒険者となっていた。蜥蜴型魔獣の多いエリアで、他の冒険者と相克する場所を避けて奥へ進んだシアーシャと護衛のジグは綺晶蜥蜴を倒し希少な素材を得るが、それを狙う不敵な影が迫り…。
第33話 お買い物
禿頭の冒険者ベイツの介入により、カスカベ、女剣士セツおよびミリーナと話すことになったジグ。状況証拠だけで一方的に襲いかかったワダツミの行いが捕縛に値する行為であるため、女剣士二人の身柄を賠償として差し出されたが、そこへふらりと現れたシアーシャの様子にワダツミ一同は寒気立つ。
第32話(後編) 二人の剣士
向かい来る剣士二人をいなしながら隙を伺うジグ。片割れを射程に収め、とどめを刺そうと剣先を伸ばした瞬間、窓の外から飛び込んできた矢に剣の刃を真っ二つに射抜かれる。驚き飛び退いて様子を伺うジグの元へ飛び込んできたのは…。
第32話(前編) 二人の剣士
依頼を終えてパーティの面々とギルドへ帰還したシアーシャは、変な武器を背負った大男がワダツミのクランハウスで暴れている噂を耳にし、悦に入り微笑む。一方のジグは、カスカベの静止を振り切った新手の女性剣士二人に襲いかかられ、殺意を抑えることなく応戦する。
第31話 半殺し
傭兵として殺しを受けていると告げたジグに、カスカベは依頼者を教えろと言う。拒絶したジグに対し、カスカベの号令で気色ばんだクランメンバーたちが襲いかかってくる。片っ端から叩きのめした面々を足元に、半殺しで済ませた意図を汲めとジグはカスカベに迫るが…。
第30話(後編) クラン勧誘
開口一番「お前がやったんだろう」と詰め寄られるジグ。聞けばクランメンバー達が手練れの両剣使いに襲われ、三人が死に、二人が半死半生に陥る大惨事になったのだという。襲撃犯でないのなら誤解を解くために質問に答えろとカスカベから要求されたジグは…。
第30話(前編) クラン勧誘
ワダツミのクランハウスに招かれたジグは、道すがら聞き及ぶ若手育成を優先するクラン運営方針におけるベテランの不満に考えを巡らせる。武器を預かるとの申し出に双剣を預け、カスカベに続いて二階に向かうと、そこには無数の冒険者たちが武器を向け待ち構えていた。
第29話(後編) 冒険者クラン
アランとイサナから受け取った報酬を手に防具店を訪れたジグ。魔力がないため魔具が使えないことを店員に明かし情報を得るが、どうにも条件が合わず店を後にする。続けて靴下を見繕い、情報屋を探しに表に出たジグは、ワダツミのカスカベと名乗る男から声をかけられる。
第29話(前編) 冒険者クラン
シアーシャは味覚に変調をきたしていたが、肉を頬張るジグの様子に刺激されてか元に戻り、2人は穏やかな夕餉を過ごす。朝、冒険者としてパーティに加わる彼女を見送るジグの元を、紹介者のリスティが訪れる。仲間が傷付けられたと受付嬢と揉める冒険者を横目に、そこそこあることだと言う。
第28話(後編) 影の男
裏通りで、マフィアのヴァンノは隠形を使う間者から報告を受けたイサナの実力に、手を組んで正解だったとほくそ笑む。強さゆえに孤立している策略が不得手なジィンスウ・ヤの意図せぬ動きに考えを巡らす。ヴァンノに協力者と疑われ、間者にも危険であると指摘された当のジグは魔女のもとに帰る。
第28話(前編) 影の男
ジグたちは場の制圧に成功、拘束した犯人を連れ別働隊のイサナたちと合流する。助けた子どもと犯人を連れた仲間たちが去り、二人きりになったイサナとジグの前にバザルタのヴァンノと名乗るマフィアが現れる。生き残りは渡さないと告げるイサナに、死体が欲しいとヴァンノは迫る。
第27話 意趣返し
眠り薬が効いていなかったエルフの子どもたちが一斉に襲いかかってきた。傭兵ジグは人斬りのライカと共に応戦する。倒れたエルフからは特徴の長耳が消え去り、人間が魔法で姿を変えていたのは明らかだった。残る一人に詰め寄るジグとライカ。その行く末やいかに。
第14話(後編) 激闘の後処理
人質にされるなら舌を噛んで死ぬと言うイサナに、ジグは命を見逃すならどれだけ犯罪を許容出来るか問う。文化の違う土地の情報を集めていただけと知り、自分の過剰な振る舞いに血の気が引くイサナ。ジグはイサナにジィンスウ・ヤ氏族全てでシアーシャへ敵対行動を取らないことを命じ、加えて武器の弁償も承諾させる。
第14話(前編) 激闘の後処理
襲ってきたのが二等級冒険者、イサナ=ゲイホーンであるのが明らかになった。高位の冒険者を殺せば捜査の手が及ぶことを考え、やむなくシアーシャの元に連れ帰る。ジグは治療を受けながら事情を話し迂闊だったと詫びるが、シアーシャは自分の立場を守ってくれたことを理解する。
第13話 雷光
雷光を身にまとい構えるジィンスウ・ヤの女性と対峙するジグ。攻撃を交わせないと判断するやいなや獲物を捨て、刃を振るおうとした相手の手首を掴む。雷光が自己強化であると見切ったジグは、力任せに武器ごと拳で頭を殴りつけ昏倒させる。ジグは後のことを考え、とどめを刺そうと近付くが…。
第12話 対人戦
話を聞かず敵意を剥き出しにするジィンスウ・ヤの女性にジグが仕掛けるが、一太刀で武器の片刃を切り落とされてしまう。繰り出される攻撃の最中、残る刃で斬撃を受け止めて身体を蹴り飛ばすも致命的なダメージは与えられず、また魔術で回復もされてしまう。
第11話 情報収集
裏路地の薬屋を付けてアンガスという顔役と対面したジグは、アンガスに金を渡して北のバザルタ、南のカンタレラ、東のジィンスウ・ヤなど主な勢力を聞き出す。アンガスとともに外へ出たジグが不審な気配に向かって声を飛ばすと、刀を帯びた女性が現れ、それを見たアンガスはジィンスウ・ヤだと叫ぶ。
第10話 討伐経験値
ギルドで、報酬が低い討伐隊への加入を呼びかけられたシアーシャは評価値加点の高さを聞き、二つ返事で参加する。特例での参加だと言うが、実力に見合う等級に引き上げたいギルドの配慮だった。戦闘で得た獲物の飛烏賊を味わったのち、ジグは一人裏路地を行く。
第9話(後編) 獲物争い
討伐対象の刃蜂と戦う岩蟲を見たシアーシャは、七等級が団結して戦う相手であり手出ししてはいけないが、迎撃をする体で岩蟲を倒してしまおうとジグを誘う。戦闘の末岩蟲と岩蟲が倒した刃蜂を回収しギルドに急ぐ二人の姿を、苦々しく見つめる冒険者たちがいた。
第9話(前編) 獲物争い
冒険者への不信感を露わにしたシアーシャの言葉に食いついてきた長耳の冒険者。魔女目線で反論しようとしたシアーシャをジグは止め、諌める。シアーシャは昇給狙いで効率良く魔獣を狩ろうとするもうまく行かなかったが、佇んでいたところへ本来の目的である飛烏賊が襲いかかってきた。
第8話 ただのナイフ
ギルドで九等級に昇格したシアーシャ。二人は昇給祝いに魔具を扱う店に赴く。ジグはそこで見た魔力を使わず魔術を切り裂ける魔装具の実用性と値段に頭を悩ます。後日ジグの元をアランと名乗る男が訪れる。ジグは、アランの人となりを見、肝心なところは誤魔化しながらも幽霊鮫から助けたのが自分であることを明かす。
第7話 糞野郎
魔獣退治に飽きたシアーシャに買い物を提案したジグ。店員に洋服選びを任せ、机で一休みしていると、眼帯をした神職風の女性から声をかけられる。乞われるままジグが水を差し出すと女性は幽霊鮫の件で人探しをしているのだという。シアーシャへの接触を仄めかす彼女を突然の腹痛が襲う。
第6話 幽霊鮫
不意な気配に思わず「後ろだ」と叫んでしまったジグの声に反応して、回避行動を取った四人パーティの前に幽霊鮫が現れる。ジグは陰から手助けをしつつ離脱する。彼らを見殺しにすれば楽だったというシアーシャを、多くの繋がりを持つことが身の助けになるのだとジグは諭す。
第5話(後編) はじめてのおしごと
転移石で徒歩七日の距離の森へ一瞬で移動した二人。初仕事なので見ていてほしいとジグに告げるとシアーシャは、向かい来る袋狼と対峙する。その後、他の冒険者の気配に気付いた二人は、後学のため四人組のパーティの戦いを陰から見学することにした。
第5話(前編) はじめてのおしごと
冒険者登録を前に取り乱すシアーシャを持ち上げ、落ち着かせるジグ。平静を取り戻し、受付に一人で向かった彼女は無事冒険者登録を済ませる。魔導書貸出料金に動揺したりしつつ、翌日ギルドで袋狼の討伐に挑戦しようと話していると、ベイツとグロウと名乗る冒険者から危険だと声をかけられる。
第4話 冒険者
二人は休憩中に遭遇した鎧をつけた猪を倒す。ハリアンへ戻ったシアーシャは魔術が受容される土地柄を活かし、そこに溶け込んで仕事をしようと考えている旨をジグに告げる。その場で目を惹いた狼人間たちが、魔獣討伐を生業とする冒険者である職業と知り、身近なジグを手本に冒険者を目指すことにした。
第3話 魔獣
地面から飛び出した魔獣を攻撃魔術で迎撃しようとしたシアーシャを、目立つ行動は控えるべきだとジグは諌める。魔術を索敵、攻撃をジグが請け負うことにし、辺りを一掃。悲鳴のもとに向かうが魔獣に襲われる乗船員たちの惨状に助力を諦める。戻ろうとした先の船は真っ二つになり諦観の面持ちで近隣の村に歩を進めた二人は、普通の人間が魔術を使っている様子を目の当たりにする。
第2話 異大陸へ
港町エスティナを訪れた傭兵と魔女。宝石を換金するとシアーシャは、ジグへ世間知らずな自分への指導を兼ねた護衛の前金にしてほしいと渡す。その後二人は情報屋のコサックから異大陸への乗船券を求め、調査船に潜り込む。道中、シアーシャに術の発動を見破った理由を問われたジグは臭いでわかるのだと告げる。二十日後、辿り着いた異大陸には先遣隊の痕跡がなく…
第1話 魔女と傭兵
恐怖の象徴魔女の討伐で、巨大な双刃の武器を抱えた傭兵が傍らの不審な女に危険を感じて飛び退くと、地面から飛び出した尖った土杭が雑兵たちの体を穿つ。果敢にも魔女を追い詰めた双刃の傭兵ジグは、自身と同様の命の軽さを魔女に重ね、新たな依頼主となった魔女シアーシャと共に彼女の安住の地を異大陸に求め旅立つ。